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コミュニティのあるまちづくり 住みよいまち、暮らし方を考える

地域再生コンサルタント 水津陽子2008.5 水津陽子

シティセールス・プロモーションの中で、定住対策に力を入れる地域も増えています。そこで重視されるのが「住みやすさ」「暮らしやすさ」。今、生活者に求められる「まち」とはどんなまちか。

 

今回は、定期借地権を活用し、共有の庭「コモンガーデン」などのコミュニティ・スペースを取り入れ、人や緑とふれあう新たな住まい、ビレッジガルテンで注目を集めるシティサイエンス代表取締役の宮本篤さんにお話をお聞きしました。

 

 

ゲスト シティサイエンス 宮本篤さん

シティサイエンス 宮本さん宮本篤  シティサイエンス株式会社 代表取締役

    

1961年大阪府出身。北野高校卒後、学習塾を開く。その後、不動産会社勤務を経て、1999年シティサイエンス設立。高いといわれる日本の住宅価格を、定期借地権を活用し価格抑制。安いだけでなく、「豊な暮らし」「幸せな暮らし」が実現できる住まいのかたちを探求。共有の庭などのコミュニティ・スペースを取り入れた住宅分譲事業「ビレッジガルテン」を展開。2007年「豊な暮らし」を提案する会社の夏休みを一か月にし注目を集める。 


クラインガルテン本著書
夏休み一か月の会社が作るまち「クラインガルテン」という暮らし方

(幻冬舎メディアコンサルティング刊)

*社長動画サイト「賢者.tv」 

 

 

インテンショナル・コミュニティ~しあわせを考えたまち、住まい、暮らし方

水津

インテンショナル・コミュニティとは、意図的なコミュニティ、地域社会、共同体の意。地域社会や隣近所といったコミュニティの崩壊や喪失が、子ども教育やモラルの低下、犯罪の増加など、様々な社会問題が生んでいます。そんな中、失われたコミュニティの再生、コミュニティ創り直しの動きが出てきています。手法としては、エコビレッジやコーポラティブ/コレクティブハウス、コハウジングなどがあります。

 

今回は、コミュニティを包含した新たな住まい・暮らし方「ビレッジガルテン」のお話をお聞きしたいのですが、まず、最初に、宮本さんがどうしてシティサイエンスを創られたのか。また、設立当初から、今のようなかたちを目指しておられたのか。どうしてビレッジガルテンのような住まいの提案になっていったのかをお聞きしたいのですが。

 

シティサイエンス「ビレッジガルテン」

シティサイエンスの提案する「ビレッジガルテン」

 

宮本

シティサイエンスを設立する前は、不動産会社にいたんですが、バブルの頃、住宅価格がものすごく高騰して、一般のサラリー万とかでは、自分の家を持つというのがとても難しくなりました。でも、そういうのを見ていて、やっぱりこれはちょっとおかしいんじゃないかと、だんだん疑問を持つようになりました。それでもっと違うやり方があるんじゃないかということで、会社で勉強会をはじめたんです。


水津

その頃、業界的には、先進的、っていうか、珍しいですね。どんな問題をテーマにしておられたんですか?


宮本

問題はいろいろです。住宅価格の問題や、ウサギ小屋って言われるような居住スペースの狭さとか。そういう中で、学級崩壊や虐待など子供の問題を耳にしました。学級崩壊というと、なんとなく中学や高校の話かと思いますが、それが小学校の一年生のことだというんです。それで、それは家庭・親のしつけの問題だと言ったら、父兄の方から、ものすごく批難されました。

 

今は、核家族化が進んで、昔のように地域で子供たちを育てるということもなくなって、子育てをしている女性が、マンションの一室で、一日子供とだけ向き合って、過ごしていたりします。僕たちが子どもの頃は、野山を走り回ったり、悪いことしたら、近所のおじさんやおばさんが叱ってくれたり、そういうことが当たり前だった。

 

また、自分もそうでしたが、父親は朝早くから夜遅くまで働いて、平日は家庭にはいない。休日はごろごろしているだけ。ゆっくり家族と過ごす時間もない。それで、豊かな暮らしとか、自分たちのとっての幸せってなんだろうと考えるようになりました。

 

水津

ビレッジガルテンのテーマは、人と緑、人と人がつながり合うこと。コモンスペースに面したリビングから、四季の移ろいや子どもが遊ぶ姿を眺められたり、居住者が交流する場づくりがなされています。そのベースには、宮本さんのそうした思いがあるということなんですね。

 

本を拝見したら、経年経過ともに、成長していく庭の姿や、生き生きして遊ぶ子供たちの姿、そこで生まれた住人同士の交流の様子を見ることができて、こういう暮らしっていいなって改めて思いました。コモンスペースと住居の間に塀などがない「オープン外構」ですが、アジアのリゾートにいる感じもします。開放的で、緑の面積も大きいんですよね。今回、こうして本にして出されると反響もあったでしょう?

宮本

はい、明後日もWBSの取材が入っているんですが、おかげさまで、本を見て、お客様からの問い合わせも増えています。

 

 

 ビレッジガルテン~環境共生とコミュニティデザイン

デンマークにて水津

ビレッジガルテンのベースには、ドイツの「クラインガルテン」とアメリカの「ビレッジホームズ」の考え方があるということですが、北欧視察などもされています。そこに、北欧などの要素も取り入れて、独自モデルやコンセプトを構築されているということなんでしょうか?

 

写真:デンマーク

 

宮本

環境共生とコミュニティデザインによるまちづくりを行っている「クラインガルテン」「ビレッジホームズ」の考え方に触れ、既成概念にとらわれない「住まい」を日本でも実現できないかとたどりついたのが、ビレッジガルテンです。

 

クラインガルテンは、ドイツ語で「小さな庭」という意味で、高層住宅の住人などで庭が持てない人のための市民農園なのですが、そこには「ラウベ」という木製の小さな小屋があって、そこは作業道具だけでなく、小さなテーブルやイス、キッチンなども備えられ、収穫したものを楽しむ場にもなっています。

 

ビレッジガルテンでも、住居ごとに小さな菜園を設けています。自分の庭でつんだ野菜やハープを使い、料理やお茶を楽しむ。そういうライフスタイルを実現できるようにしています。

 

ビレッジガルテンにてまた、アメリカの「ビレッジホームズ」の特色は、自然エネルギーを活用した環境共生住宅などの持続可能なコミュニティであることと、共有地を多くとったランドスケーププランによって居住者同士の交流を活発にするコミュニティ形成を強く意識している点にあります。

 

ビレッジガルテンでは、家々の境界には高い木を植え、共有スペースに、コモンガーデン、果樹や落葉樹など、四季で移ろう庭、時間空間のデザインを考えていきます。ビレッジガルテンは、決まったモデルがあるのではなく、私たちは、個々の地形、その土地の特性を活かしたビレッジガルテンのデザインを考えるようにしています。土地に起伏があると、通常はそれを平らにしようとしますが、私たちは逆にそれを生かそうとします。

 

水津

本の中で、北欧の視察の際、管理規約を見せてもらったら、紙一枚に、本の一行、苦虫つぶしたような顔じゃなくて、笑って楽しくやろうみたいなことが一言書かれていただけとか。日本だと、こんなことをしたらいけませんとか、こういうことしたら、こういう責任が問われますよ的な事が長々と書かれていて、結局、誰も読まないものになっていますが、みんなが共有すべきこと、ルールって、実はこういうことがみんなで合意できているってことなんでしょうね。

 

本では、シティサイエンスの夏休みを一か月にするなど、「本当の豊かさ」とは何かを追い求める宮本さんの姿が描かれていますが、北欧視察なども、常に、新たなヒントを追い求め探しておられるということなんですね。

 

 

 定期借地権を活用した、新たな「住」のモデル

水津

定借については、以前からもっと活用していければと思っていたんですが、日本では、どうしても土地所有の意識が高くてなかなか進んでいません。もっと土地活用の視点を持てるといいのですが。

 

*定期借地権  

1992年「借地借家法」により、一般定期借地権は、借地期間50年以上として、機関の満了時、借主は原則、土地を原状回復して返還するという制度ができましたこの制度を活用し、低廉な価格で上質な住宅を供給することができます。

 

宮本

よく、お客様からも、土地は自分のものにならないのと聞かれます。

水津

定期借地権を使うと、たとえば、ビレッジガルテンの場合、一般的な価格ラインというのはどのあたりになるのですか?

 

宮本

いろいろですが、2000万円台で提供できるものもあります。ビレッジガルテンの立地としては、都市の中心部というより、郊外型の開発モデルだと思っています。

 

*郊外での開発は、ビレッジガルテンのような一般の開発ではない、付加価値性のあるものは、地主さんにとっても、新たな土地法になるし、定期借地権を活用することで、地主さんにとっては所有権を維持できるし、消費者は廉価で住宅取得ができるという互いの利益がある。

 

水津

定借については、まだまだ活用例が少なく、こうした事例が出てくることで、活用の促進につながればと思っています。特に、地方では高齢化が進み、その中で空き家も増えています。そこに都市から定住や二地域居住希望者のニーズを取り込んでいきたいところですが、なかなか土地家屋を手放さない、貸してくれない。

 

普段は住んでいないけど、故郷に自分が戻ってくる場所がなくなるということで、所有権を失うことへの抵抗もあります。農村部では、空き家とともに、耕されなくなった田畑の問題もあります。そうしたことが、こういう新たな手法によって解決できるのではないかと思います。

 

 

*ビレッジガルテン進行中の事業
第一号は、2004年大阪府三島郡島本町の「コモンガーデン水無瀬」(定期借地権12戸・所有権9戸) からはじまり、2005年兵庫県宝塚市「ビレッジガルテン宝塚フ・ル・ル」(定期借地権17戸)と続き、2008年1月現在、関西圏で、8つのビレッジガルテンが誕生しています。

 

谷中ダージリンにて

今回の対談場所は、谷中夕焼けだんだんを上がったところにある「ダージリン」にて、ビレッジガルテン事業部のリーダー保坂優子もご一緒して頂きました。

 

 

水津陽子の連載コラム・新刊本

日経ビジネスオンライン 日本人だけが知らないニッポンの観光地(日経BP社刊) 運営からトラブル解決まで自治会・町内会お役立ちハンドブック

日経ビジネスオンライン 連載コラム「日本人が知らない新ニッポンツーリズム」

2014年3月よりコラムの連載を開始。インバウンド(訪日観光)誘致のマーケティングと戦略を先進事例に探り、テーマとなる日本の資源や地域の可能性と課題を分析。2014年9月第1~11回が「日本人だけが知らないニッポンの観光地」として日経BP社より書籍化されました。

 

地方創生、まちづくりの担い手、地縁団体、自治会・町内会活動活性化本

加入率の低下、活動の担い手不足、活動のマンネリ化に悩む自治会・町内会活性化の講演セミナー・研修を全国で多数手掛ける地域活性化・まちづくりのコンサルタントが規約や会計、地域コーディネート術の基本をまとめました。事例やデータ、トラブル解決のQ&A満載の一冊です。

 

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