コロナ禍、出張はほぼ直行直帰。まちを歩いて地域の現状や地域活性化・まちづくりの取組みの取材もままならない日々が続いていましたが、2022年5月24日の前橋市出張から、取材&リサーチを再開しました。この3年で地域はどう変化したのか、リポートします。
群馬県前橋市の中心市街地は今
前橋市は人口約33万人、群馬県の県庁所在地。コロナ前、2019年の観光入込客数は約740万人、コロナ後の2020年は約371万人。主な観光地は赤城山など、多くは日帰り客で観光消費額は高崎市の1/2程度に留まる。中心市街地では様々な工夫も見られ、まちなかイベントも多数開催されているが・・・
前橋市が2022年3月に出した「中心市街地活性化基本計画のフォローアップ報告書」では、居住世帯数は概ね目標の8割達成でB1評価となったが、他の2指標(通行量と路線価)ではCとなった。中心市街地を歩くと様々な試行錯誤した苦労の跡が散見されるが、その多くは昭和から平成に全国で見られた取組みの枠を出ない。
前橋市は2019年9月に「前橋市アーバンデザイン」を策定。官民連携の取り組みにより「先進的まちづくり大賞」国土交通大臣賞を受賞。前橋駅から中心市街地を経て県庁に向かうエリアではその萌芽も垣間見える。
中心市街地の中にある広瀬川河畔緑地。商店街に隣接する遊歩道沿いは市民の憩いの場となるよう整備され、萩原朔太郎ゆかりの前橋文学館などもある。これが東京、目黒川辺りであれば、他にないおしゃれスポットになるはずだが、ポテンシャルのあるこの資源が充分に活かされているといえるだろうか。この日の取材は平日午前、休日のにぎわいはどの程度か。
今回、最も目を惹いたのは「白井屋ホテル」。建築家の杉本博司氏が創業300年、旧宮内庁御用達「白井屋旅館」のリノベーションを手掛けた「SHIROIYA HOTEL」。単なる宿泊施設ではなく、新たな食の魅力、アート&デザインを融合した施設となっており、1階にはブルーボトルコーヒーなども入る。
前橋市の消費傾向を見ると弁当や加工食品が多く、外食は全国平均を下回るが、新たな視点、切り口のコンテンツが今後、こうした前橋市民の消費行動を変えていくかもしれない。